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『天上の花・蕁麻の家』萩原 葉子

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「大森の馬込村に住むようになったのは、大正十五年の暮であった。父朔太郎、母、それに学齢前の私と妹の四人暮しだった。
三好達治さんが、家に来られるようになったのは、その翌年ごろからである。
私は人見知りの強い子だったので、家に客が来ると素早く母の後ろに隠れてしまったり、戸棚にかくれたりした。
客の来るのが、何よりおもしろくなく、厭だったのである。だが、幸い父の書斎は二階で、玄関から入るとすぐ階段になっていたので、茶の間で遊んでいる私の姿を見かけられることもなく済んだ。
室生犀星さん、宇野千代さん等は足繁く家に来て、時には茶の間で家族的にくつろいでゆくこともあった。が、そんな時も、私は馴れずにこりともしないで、母の後ろに隠れていた。
だが、三好さんだけにはいつの間にか、馴れてしまった。」

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萩原朔太郎の長女として知られる著者だが、この本を読むとその肩書き以上に、他者の弱さや破綻を見つめる独自の筆の強さが際立つ。読み味は静かだが、読後に残る棘は深い。
詩人・三好達治を描いた「天上の花」と、家族のなかで棘のような痛みを生きる「蕁麻の家」。どちらも華やかな文学史の裏側にある生身の感情や暮らしの陰影を鋭く、そして執拗に見つめた作品。

【タイトル】天上の花・蕁麻の家
【筆者】萩原 葉子
【出版社】小学館
【出版年】2020年
【備考】「天上の花」は第55回芥川賞候補作/「蕁麻の家」は第15回女流文学賞受賞

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