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『ロマネ・コンティ・一九三五年』開高 健
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「ぼつぼつはじめるとするか」
「いいね」
「どちらからやろう?」
「おまかせするよ」
「若いのは六歳、古いのは三七歳だ。となりどうしの畑でとれたけれど、名がちがうから、異母兄弟というところかな。本場中の本場、本物中の本物、ヴレ・ド・ヴレというやつさ。けれど、こればかりはどんなに血筋や年がよくても、あけてみるまではわからないんでね。うらむわけにもいかないけれど、ときどきガッカリすることがある。ことにブルゴーニュはそうだね」
「おまかせする。今日はこれに集中しようと思って、朝からタバコも吸わずにがまんしてるんだ。昨夜は昨夜で一滴もウィスキーを飲まなかった。毎晩、分量はべつとして、飲まないってことはないんだがね」
「たいそうな御精進ですな」
「それだけのことはあると思って来た」
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過剰なくらい豊かな比喩表現が、短い器の中に詰め込まれている。
酒、食、性、土地の気配、そして生の濃度──。そのどれもが乾いておらず、むしろぬめるような手触りをもって迫ってくる。
【タイトル】ロマネ・コンティ・一九三五年
【筆者】開高 健
【出版社】文藝春秋
【出版年】2009年
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